仮の差止等申立て却下決定に対する抗告棄却決定に対する特別抗告事件 最高裁判所第一小法廷平成二四年(行ト)第七〇号 平成24年11月30日決定

       主   文

本件抗告を棄却する。
抗告費用は抗告人らの負担とする。

       理   由

 民事事件について特別抗告をすることが許されるのは、民訴法三三六条一項所定の場合に限られるところ、本件抗告理由は、違憲をいうが、その実質は原決定の単なる法令違反を主張するものであって、同項に規定する事由に該当しない。
 なお、本件申立ての本案の訴え(衆議院議員の選挙に関する内閣による助言と承認等の差止め及び内閣による法案提出の義務付けを求める訴え。以下「本件本案の訴え」という。)は、選挙に関する民衆訴訟(行政事件訴訟法五条)として提起されたものであるが、民衆訴訟は、裁判所法三条一項の「法律上の争訟」ではなく同項の「その他法律において特に定める権限」に含まれるものとして、「法律に定める場合において、法律に定める者に限り、提起することができる」ものとされており(行政事件訴訟法四二条)、国会議員の選挙に関する民衆訴訟について、公職選挙法の定める選挙無効訴訟等の訴訟類型以外に、本件本案の訴えのような選挙に関する差止め又は義務付けの訴えの提起及びこれらを本案とする仮の差止め又は仮の義務付けの申立てをすることができる旨を定める法律の規定は存しない。そして、上記のような民衆訴訟の性質等に照らせば、民衆訴訟として法律の定めを欠く訴訟類型及びこれを本案とする仮の救済方法が、法律上の争訟である抗告訴訟及びこれを本案とする仮の救済方法に関する法律の規定又はその趣旨の類推により創設的に認められると解することはできないから(このことは,法定の訴訟類型である選挙無効訴訟において無効原因として主張し得る事由の範囲の解釈とは事柄の性質を異にするものである。)、現行の法制度の下において、本件本案の訴えは不適法であり、本件申立ても不適法であるといわざるを得ない。
 よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。 
(裁判長裁判官 横田尤孝 裁判官 櫻井龍子 金築誠志 白木勇 山浦善樹)