住居侵入,強盗殺人,強盗殺人未遂被告事件 最高裁判所第二小法廷平成28年(あ)第1889号 令和元年7月19日判決

       主   文

本件上告を棄却する。

       理   由

 弁護人岡村英郎の上告趣意は,憲法違反,判例違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反,事実誤認,量刑不当の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。
 なお,所論に鑑み記録を調査しても,刑訴法411条を適用すべきものとは認められない。
 付言すると,本件は,被告人が,(1)平成10年6月,共犯者2名と共謀の上,強盗目的でA方に侵入し,A(当時45歳)とその妻B(当時36歳)を殺害し,その際,金品を強取したという住居侵入,強盗殺人,(2)平成18年7月,上記共犯者のうち1名と共謀の上,強盗目的でC方に侵入し,C(当時69歳)を殺害しようとしたが,死亡させるに至らず,その際,金品を強取したという住居侵入,強盗殺人未遂の事案である。
 (1)の犯行は,被告人が,パチンコ店に勤務するAから同店の鍵を奪い、同店から現金を盗むことなどを計画し,共犯者らを誘い入れ,あらかじめAの家族構成を調べるなどした上で,Bと幼い息子2人が在宅していたA方に侵入し,Bの頸部をひも様のもので強く絞め付けて窒息死させて殺害し,室内を物色するなどし,その後帰宅したAを背後から襲い,同様の方法で殺害したというもの,(2)の犯行は,被告人が,以前新築工事に携わった関係で,C方が女性の一人暮らしであることなどを知っていたことから,C方に強盗に入ることを共犯者に提案し,建設会社の定期点検を装ってC方に侵入し,室内を物色した上,Cの頸部をひも様のもので絞め付けて殺害しようとしたが,Cに傷害を負わせるにとどまったというものである。いずれの犯行も,強盗の計画性は高く,殺害を事前に計画していたとまでは認められないものの,家人が在宅するのを知りながら民家に侵入し,強盗を遂行するために各殺害行為に及んでおり,その態様も強固な殺意に基づく冷酷なものである。金銭目的でこのような犯行を繰り返した被告人の人命軽視の態度は顕著というほかない。何ら落ち度のない2名の命が奪われ,1名の命が危険にさらされたという結果は誠に重大であり,幼少期に両親を殺害されたA及びBの息子らが峻烈な処罰感情を示しているのも当然である。被告人は,(1)の強盗を計画して主導し,(2)の強盗についても,共犯者と共に計画して主体的,積極的に関与しており,各被害者のうち,少なくともAの殺害の実行行為の一部を担ったと認められる。
 以上のような事情に照らすと,被告人の刑事責任は極めて重大であるといわざるを得ず,被告人が被害者や遺族に対する謝罪の意を表していること,(1)の犯行時は23歳と若年であったこと,各犯行時には前科がなかったことなど,被告人のために酌むべき事情を十分に考慮しても,原判決が維持した第1審判決の死刑の科刑は,当裁判所もこれを是認せざるを得ない。 
 よって,刑訴法414条,396条,181条1項ただし書により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
検察官高長伯,同齋藤隆博 公判出席
(裁判長裁判官 山本庸幸 裁判官 菅野博之 裁判官 三浦守 裁判官 草野耕一)