保護責任者遺棄致死被告事件 最高裁判所第一小法廷平成24年(あ)第797号 平成26年3月20日判決

       主   文

原判決を破棄する。
本件を広島高等裁判所に差し戻す。

       理   由

 検察官の上告趣意は,判例違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反,事実誤認の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。
 しかしながら,所論に鑑み,職権をもって調査すると,原判決は,刑訴法411条1号により破棄を免れない。その理由は,以下のとおりである。
第1 第1審判決の要旨
 第1審判決は,以下のとおり犯罪事実を認定し,その理由を説示して,被告人両名をそれぞれ懲役6年に処した。
1 犯罪事実の要旨
 被告人両名は,平成21年4月頃(特に断らない限り,以下の月日は,平成21年のものをいう。)から,広島市(以下省略)内の被告人両名方において,被告人Aの妹であり,医師により統合失調症の診断を受けていたB(当時21歳。以下「被害者」という。)を引き取り同居し,遅くとも6月下旬頃から日常的に同人に虐待を加えていた。被害者は,8月5日頃には,上記診断を受けるほどの精神状態や,平素から上記虐待等を受けていたことにより被告人両名に逆らえない状態になっていたことなどから,自ら進んで必要な医療措置を受けるなどの行動に出ることを期待するのが困難な状態にあった。また,被害者は,その頃には,極度に衰弱し,歩行するなどの身動きも一人では不自由な状態にあった。
 被告人両名は,8月5日頃,これらの状態を認めたのであるから,被害者の生存を確保するため,医師の診察等の医療措置を受けさせるなどの保護を加えるべき責任があったにもかかわらず,上記虐待の事実の発覚を避けたいとの気持ちもあり,共謀の上,8月5日頃から8月16日午後7時頃までの間,被害者に医師の診察等の医療措置を受けさせず,僅かな飲食物を提供するのみで,その生存に必要な保護を加えず,よって,8月20日午前10時27分頃,同市(以下省略)内のC大学病院において,被害者を外傷による出血及び低栄養に基づく虚血状態に起因するショック並びに敗血症性ショックにより死亡させた。
2 理由の要旨
(1)被害者は,7月29日頃,顔等に黄疸等が認められ,被告人Aの手を借りてゆっくり歩く状態であった。8月5日頃には,外傷による出血等が原因で,虚血で低栄養の状態にあり,外見上は,顔全体を腫らし,被告人Aの手を借りるなどしてすり足で歩く状態であった。その後,虚血の状態が更に悪化する中で,全身に炎症反応を起こすなどし,その過程で8月9日頃には危険な状態に至った。他方で,敗血症を発症し,遅くとも8月14日頃には立ち上がることができなくなった。8月16日午後7時57分頃に心肺停止の状態で病院に救急搬送されて治療を受けたが,8月20日に死亡した。
 上記の被害者の状態に照らすと,被害者は遅くとも8月5日頃には,極度に衰弱し,歩行するなどの身動きも一人では不自由な状態であり,医師の診察等の医療措置を内容とする保護を必要とする状態にあった。
(2)被告人両名は,被告人Aの実妹で重度の統合失調症と診断された被害者の自傷行為等を防ぐ必要から,24時間被害者の面倒を見る必要があることなどを分かった上で,4月頃,自宅に被害者を引き取って生活するようになった。上記のとおり,被害者は,被告人両名の目の前で衰弱していったが,被告人両名は,6月下旬頃以降,日常的に,被害者に対し,虐待行為に及んでおり,これが被害者の衰弱の原因の一つであった。重度の統合失調症と診断されるほどの精神状態であった被害者は,虐待を受けていることなどを始めとする被告人両名との関係から,遅くとも8月5日頃以降,自ら進んで必要な医療措置を受けるなどの行動に出ることを期待するのが困難な状態にあった。当時、被害者の健康状態を把握していた者は被告人両名のほかにはおらず,被害者に医師の診察等の医療措置を受けさせることができたのは,被告人両名だけであった。被告人両名が,当時,被害者に医療措置を受けさせることは容易なことであった。
 被告人両名が被害者の面倒を見ることを引受けた上記の経緯等からすると,被告人両名には,法律上被害者に医療措置を受けさせるなどの保護を加えるべき責任があった。そして,被告人両名は,8月5日頃から8月16日午後7時頃まで,被害者に医師の診察等の医療措置を受けさせず,僅かな飲食物を提供するのみで,その生存に必要な保護を加えていなかった。 
(3)被告人両名は,二人で相談した上で被害者を自宅に引き取り,いずれも自ら被害者を虐待するのみならず,互いに,相手も被害者を虐待していることを把握していた。そうすると,被告人両名は,8月初め頃には,被害者を病院に連れていくと,その外傷や衰弱の状態から虐待の事実が発覚するおそれがあると考えていたことが推認され,現に,7月末頃以降,被害者が衰弱していく姿を目にしながら,被害者を病院に連れていくなどせず,かえって,被害者が立ち上がることができない状態にまで至っていた8月14日及び翌15日には,いずれも僅かな飲食物をそばに置いて被害者を一人自宅に残して出掛けるなどした。
 以上に照らすと,被告人両名は,被害者に医療措置を受けさせるなどの保護を必要とする状態であることを分かりながら,必要な保護をしない旨の意思を互いに通じ合っていたと認められる。
(4)8月5日頃から8月9日頃までの間に被害者に医師の診察等の医療措置を受けさせていれば,被害者の救命は確実であり,8月9日頃以降でも8月16日午後7時頃の心肺停止前までの間に被害者に医療措置を受けさせていれば,延命は確実であった。したがって,8月5日頃から8月16日午後7時頃までの被告人両名による不保護と被害者の死との間には因果関係がある。
第2 原判決の要旨
 被告人両名は,第1審判決に対して控訴し,原判決は,第1審判決の認定,判断は論理則,経験則等に照らし不合理であるとし,事実誤認があるとして第1審判決を破棄し,本件を広島地方裁判所に差し戻した。その理由の要旨は次のとおりである。
1 第1審判決は,7月29日頃,Dクリニック(以下「クリニック」という。)に被告人Aと共に来院した被害者の様子を述べる医師E(以下「E」という。)の第1審公判における証言(以下「E証言」という。)が信用できることを前提に上記犯罪事実を認定しているが,E証言には不自然,不合理な点があり,真実記憶しているのであればその旨供述することに尽きるはずであるところ,曖昧な供述になっており,Eが真実体験,記憶していることを供述しているのかが疑われるのであって,E証言が信用できるものとしてされた第1審判決の認定は,論理則,経験則等に照らし,不合理である。
2 第1審判決は,8月5日頃,被告人両名と共に中華料理店を訪れた被害者の様子を述べる店員F(以下「F」という。)の第1審公判における証言(以下「F証言」という。)が信用できることを前提に上記犯罪事実を認定しているが,F証言は,平成22年2月11日付け警察官調書謄本,平成22年2月14日付け検察官調書謄本にあるFの捜査段階の各供述(以下,併せて「F供述」という。)と食い違っており,それは勘違いや記憶違い,あるいは記憶の減退等によるものとは考え難く,第1審判決の認定は再度のFの証人尋問の実施を含めたF証言の信用性の慎重な検討を経ずしては是認できない。
3 被害者の状況は,被告人両名から見ても,被害者の生命身体に危険があり,生存に必要な保護として,医師の診察等の医療措置を受けさせる必要があるとの認識を抱かせるに足りるものであったとはいえない。また,被告人両名が,上記の認識を有していなかったのではないかという疑いにつながる事情も存しており,これらの事情をも検討しなければ,被告人両名において,上記の認識を有していたのかについての認定,判断を決し得ないにもかかわらず,これらの事情に触れることなく,被告人両名が,被害者が上記の状態であることを分かっていたとする第1審判決の認定,判断も,論理則,経験則等に照らし,合理的なものとして是認することはできず,第1審判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな事実の誤認がある。
第3 当裁判所の判断
 当裁判所は,原判決が第1審判決に事実誤認があるとした判断を是認できない。すなわち,刑訴法382条の事実誤認とは,第1審判決の事実認定が論理則,経験則等に照らして不合理であることをいうものと解するのが相当であり,控訴審が第1審判決に事実誤認があるというためには,第1審判決の事実認定が論理則,経験則等に照らして不合理であることを具体的に示すことが必要である(最高裁平成23年(あ)第757号同24年2月13日第一小法廷判決・刑集66巻4号482頁)が,原判決は,以下のとおり,第1審判決の事実認定について,論理則,経験則等に照らして不合理な点があることを十分に示したものとは評価することができない。
1 E証言の信用性について
(1)E証言の要旨は,「7月29日頃に来院した被害者は,被告人Aに寄りかかって,1歩というより半歩ずつ,少しずつ歩くという感じであり,少し貧血っぽい顔をし,顔には黄疸が,また,顔,手及び脇腹の辺りには浮腫がそれぞれ出ていた。被害者の状態を見て,全身状態が悪化したために,低たん白血症か何かを起こして浮腫になっていると思った。精神科の治療とともに,肝機能障害の治療等,内科的な全身の治療が必要な状態であって,このまま悪くなっていったら,大変なことになると思った。」というものである。
(2)原判決は,Eが7月29日頃に被害者を診た状況について,Eが真実体験,記憶していることを供述しているのかが疑われるとし,Eが目にしたという被害者の状態も含めて,第1審判決のように認定することは困難であるという。その理由として,原判決は,Eが7月29日頃に被害者を診た際の被告人Aに対する説明内容に関する供述部分について,〔1〕被害者の状態がこのまま悪くなっていったら大変なことになると思ったという医師において,端的にその旨伝え,直ちに内科で受診するよう勧めるということではなく,その患者が通院している精神科を受診し,そこに併設されている内科も受診すればよいと思い,あるいはその旨伝えたなどというのであれば,それ自体が,相当に不自然,不合理である,〔2〕仮にEが上記の認識に基づき端的に内科の治療を受けないと大変なことになると告げて,直ちに受診することを勧めたと真実記憶しているのであれば,その旨供述することに尽きるはずであり,具体的な文言はともかく,時間の経過によって,そのこと自体が曖昧になるなどということは通常考え難いという。
(3)しかしながら,以下のとおり,原判決の上記判断は是認できない。
ア E証言は,〈ア〉被害者を観察してその外見上の状況を述べる部分と,〈イ〉被告人Aに対する説明内容を述べる部分からなる。両部分は,信用性の判断において関連するところもあるが,別個の事項に関する証言であるから,それぞれについて具体的にその信用性を検討する必要がある。
イ まず,E証言の〈ア〉部分についてみると,Eは,本件以前から被害者を診察していた医師であって,事件の当事者とはいえない第三者であり,本件直前の被害者の身体状況等についてあえて虚偽を述べるような事情は認められない。その医師としての経歴等に照らしても,同人の医学的な専門知識・知見に疑問を抱かせる事情は見当たらず,7月29日頃の被害者の身体状況に関する〈ア〉部分はそのような知識・知見に基づくものとして信用性が基礎付けられている。そうであるにもかかわらず,原判決は,7月29日頃の被害者の身体状況に関する認識についてEが殊更真実とは異なる内容を述べていると判断するに際し,これらの点を考慮していない。
 また,〈ア〉部分は,被害者の遺体を解剖した医師Gの第1審公判における証言(以下「G証言」という。)からうかがえるその頃の被害者の身体状態や運動能力に沿うものであるし,8月5日頃の被害者の様子に関して述べられているF証言にも沿うものである。原判決には,E証言がこれら他の関係証拠に沿うものになっている点について,何ら説示がない。
 さらに,〈ア〉部分については,7月29日頃,被害者が被告人Aと共にクリニックに来院した際の同人らの様子や被害者の身体状況等が具体的に述べられており,記憶が曖昧なところはその旨が率直に述べられ,作り話をしている様子はうかがえない。原判決は,このように具体的な内容が述べられているにもかかわらずE証言が信用できない理由についての説示を欠いている。
ウ 次に,〈イ〉部分について,原判決は,Eが,被害者の全身状態が悪化しており直ちに内科での受診が必要であるとの認識を持ちながら,被害者が通院している精神科と併設されている内科を受診すればよいと思い,その旨伝えたというのであれば,相当に不自然,不合理なことである旨いうが,Eは,被害者が精神疾患による自傷行為で身体の状態悪化を招いていると認識していたのであるから,病状悪化の原因を断ち切るためには精神科の受診も必要であり,通院していた精神科の治療を受けるとともに,併設されている内科を受診することが適切であると考え,その旨勧めることは,何ら不自然,不合理ではない。
 確かに,被告人Aに対する説明内容に関する供述部分には曖昧な点もあるが,医師としての専門知識・知見に基づく病状に関する認識の記憶と,患者の家族との間で行われた口頭での会話の内容に関する記憶とでは,おのずから記憶の正確性・保存状態の良否において差が生じることがあっても不自然ではないから,〈イ〉部分に曖昧な点があるからといって,直ちに〈ア〉部分に関する証言の信用性を失わせるものと判断するのは相当ではない。
エ そうすると,原判決は,E証言の〈ア〉部分に関し,その信用性を支える根拠があるのに,これを考慮せず,かつ,〈イ〉部分の証言内容は直ちに〈ア〉部分の信用性を失わせるものとはいえないのに,失わせるものと判断した点において,E証言の信用性を正当に評価したものであるとはいえず,同証言に基づく第1審判決の事実認定が論理則,経験則等に照らして不合理であることを具体的に示しているとはいえない。
2 F証言の信用性について
(1)F証言の要旨は,「8月5日の来店時,被告人Hと子どもが先に入店し,後から被告人Aと被害者が入店したが,被害者は,被告人Aに脇を抱えられ,階段1段分の段差を難しそうに上がって入ってきた。被害者は,入店後,下を向いてすり足で壁やいすの背もたれに手をつきながら歩いており,両目が出目金のような腫れ方をしており,両目ともまぶたが内出血で紫色,赤黒かったし,口もタラコ唇のように腫れており,ひどい怪我をしていると思った。」というものである。
(2)原判決は,〈A〉8月5日頃に被告人両名らが来店した際の被害者と被告人Aの入店の順序や両者の動き等に関し,F証言では上記のとおり述べられているのに,F供述では,被告人両名及びその子が店内に入ってきてから遅れて被害者が入ってきた,などとされ,〈B〉7月に来店した際の被害者の歩き方に関し,F証言では,足を引きずっていたなどの記憶がない,とあるのに,F供述では,被害者の歩き方は,7月に見たときと同様,ゆっくりと足を引きずる感じに変わりはなく,特に改めて気になるようなことはなかった,とされており,食い違いがある上,これらの食い違いは勘違い等によるものとは考え難く,F証言等の信用性については深刻な疑問があるという。
(3)しかしながら,Fは,被告人両名や被害者と直接の関係を有しない第三者であって,殊更被告人両名に不利な供述をすることを疑わせるような事情は認められないし,証言内容を見ると,目撃した被害者の様子を具体的かつ詳細に当時の心情も交えて述べており,上記G証言やE証言とも符合している。
 原判決指摘の食い違いについて見ると,F証言において重要な部分は,8月5日頃の被害者の外見上の状況に関してFが目撃した様子を述べる部分であって,〈B〉部分は8月5日頃の状況とは無関係であるし,〈A〉部分も被害者の外見上の状況とは関連性がなく,上記重要部分に関する証言の信用性を直ちに左右するものではない。
 一方,上記重要部分について,F証言とF供述を対比してみると,被害者の顔全体が腫れており,特に目や口が腫れていたという点などは一貫しており,F証言は十分に信用できる。
 そうすると,原判決は,証言の中心部分ではない周辺的な事情に関する食い違いを理由にF証言の信用性について深刻な疑問があるとしているのであって,このようなF証言に対する信用性の評価は,第1審判決の事実認定が論理則,経験則等に照らして不合理であることを具体的に示しているとはいえない。
3 原判決は,上記1(2),2(2)の判断を前提に,被告人両名において,被害者の生命身体に危険があり,その生存に必要な保護として,医師の診察等の医療措置を受けさせる必要があるとの認識を有していたか否かを判断するためには,被害者の状況が,被告人両名から見ても,その認識を抱かせるに足りるものであったのか否かについて,更に審理を尽くす必要があり,また,被告人両名がそのような認識を有していなかったのではないかとの疑いにつながる事情についての検討も行わなければ,被告人両名の上記の認識についての判断を決し得ないという。
 しかしながら,搬送先病院で撮影された被害者の写真やそれ以前の6月5日にクリニックで撮影された被害者の写真,8月初め頃以降の被害者の身体状態,運動能力及び遺体解剖時に被害者の全身にあったけがの状況に関するG証言等のほか,E証言及びF証言を併せ考慮すれば,8月初め頃の被害者は,極度に衰弱し,歩行するなどの身動きも一人では不自由な状態にあり,医師の診察等の医療措置を受けさせる必要がある状態にあったといえる。そして,被害者がそのような状態にあることは外見上認識し得たのであって,被告人両名から見ても,その認識を抱かせるに足りるものであったし,被告人両名はそのような認識を有していたといえる。
 原判決は,8月5日頃以降,被害者が衰弱していき,危険な状態に至ったことは認めながら,E証言及びF証言が信用できないことを前提に,被害者の状況が,被告人両名から見ても,その認識を抱かせるに足りるものであったのか否かについて,更に審理を尽くす必要があるとしているところ,上記1,2のとおり,原判決には,その前提において誤りがある。また,原判決の指摘する上記の事情が被告人両名の上記の認識を左右するものとはいえない。
 そうすると,上記のような誤った証拠の信用性評価や判断を前提に,被告人両名において,被害者の生命身体に危険があり,その生存に必要な保護として,医師の診察等の医療措置を受けさせる必要があるとの認識を有していたかを判断するためには,被害者の状況が,被告人両名から見ても,その認識を抱かせるに足りるものであったのか否かについて,更に審理を尽くす必要があり,被告人両名がそのような認識を有していなかったのではないかとの疑いにつながる事情についての検討も行わなければ,上記の判断を決し得ないとした原判決は,第1審判決の事実認定が論理則,経験則等に照らして不合理であることを具体的に示しているとはいえない。
4 以上の検討によれば,原判決が,E証言及びF証言を信用できないとし,被告人両名は被害者が生存に必要な保護として医療措置を受けさせるなどの保護を必要とする状態であることを分かっていたとする第1審判決の認定,判断を是認できないとした判断は,第1審判決について,論理則,経験則等に照らして不合理な点があることを十分に示したものとは評価することができない。そうすると,第1審判決に事実誤認があるとした原判断には刑訴法382条の解釈適用を誤った違法があり,この違法が判決に影響を及ぼすことは明らかであって,原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものと認められる。
 よって,刑訴法411条1号により原判決を破棄し,同法413条本文に従い,更に審理を尽くさせるため,本件を広島高等裁判所に差し戻すこととし,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
検察官上田邦彦,同栗原雄一 公判出席
(裁判長裁判官 横田尤孝 裁判官 櫻井龍子 裁判官 金築誠志 裁判官 白木勇 裁判官 山浦善樹)