執行文付与請求事件 最高裁判所第一小法廷平成25年(受)第419号 平成26年4月24日判決

       主   文

本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。

       理   由

 上告代理人中村勝己ほかの上告受理申立て理由について
1 本件は,被上告人につき破産手続終結の決定がされ免責許可の決定が確定した後,被上告人に対し確定した破産債権を有する上告人が,上記破産債権は破産法253条1項2号に掲げる請求権に該当すると主張して,被上告人に対し,上記破産債権が記載された破産債権者表について提起した執行文付与の訴えである。
2 原審は,破産債権者表に記載された確定した破産債権が破産法253条1項各号に掲げる請求権(以下「非免責債権」という。)に該当するか否かは,執行文付与の訴えの審理の対象とはならないから,本件訴えは不適法である旨判断して,本件訴えを却下すべきものとした。
3 所論は,免責許可の決定が確定した場合、破産債権者表に記載された確定した破産債権が非免責債権に該当するか否かは裁判所書記官の形式審査には適さず,裁判所書記官が破産債権者表について執行文を付与することはできないと解されるから,非免責債権が記載された破産債権者表に基づいて強制執行を実施するため,民事執行法33条1項を適用又は準用して,破産債権者表について執行文付与の訴えを提起することができると解すべきであるというものである。
4 民事執行法33条1項は,その規定の文言に照らすと,執行文付与の訴えにおける審理の対象を,請求が債権者の証明すべき事実の到来に係る場合におけるその事実の到来の有無又は債務名義に表示された当事者以外の者に対し,若しくはその者のために強制執行をすることの可否に限っており,破産債権者表に記載された確定した破産債権が非免責債権に該当するか否かを審理することを予定していないものと解される(最高裁昭和51年(オ)第1202号同52年11月24日第一小法廷判決・民集31巻6号943頁参照)。このように解しても,破産事件の記録の存する裁判所の裁判所書記官は,破産債権者表に免責許可の決定が確定した旨の記載がされている場合であっても,破産債権者表に記載された確定した破産債権がその記載内容等から非免責債権に該当すると認められるときには,民事執行法26条の規定により執行文を付与することができるのであるから,上記破産債権を有する債権者には殊更支障が生ずることはないといえる。 
 そうすると,免責許可の決定が確定した債務者に対し確定した破産債権を有する債権者が,当該破産債権が非免責債権に該当することを理由として,当該破産債権が記載された破産債権者表について執行文付与の訴えを提起することは許されないと解するのが相当である。
5 原審の判断は,これと同旨をいうものとして是認することができる。論旨は採用することができない。
 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 金築誠志 裁判官 櫻井龍子 裁判官 横田尤孝 裁判官 白木勇 裁判官 山浦善樹)