強盗殺人,営利・生命身体加害略取,逮捕・監禁,死体損壊・遺棄,窃盗,住居侵入,窃盗未遂被告事件 最高裁判所第三小法廷平成28年(あ)第1485号 平成31年2月12日判決

       主   文

本件上告を棄却する。

       理   由

 弁護人田島浩,同小田幸児,同本多貞雅の上告趣意のうち,死刑制度に関して憲法13条,31条,36条違反をいう点は,死刑制度が憲法のこれらの規定に違反しないことは当裁判所の判例(最高裁昭和22年(れ)第119号同23年3月12日大法廷判決・刑集2巻3号191頁,最高裁昭和26年(れ)第2518号同30年4月6日大法廷判決・刑集9巻4号663頁,最高裁昭和32年(あ)第2247号同36年7月19日大法廷判決・刑集15巻7号1106頁)とするところであるから,理由がなく,その余は,憲法違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反,事実誤認,量刑不当の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。
 なお,所論に鑑み記録を調査しても,本件につき,刑訴法411条を適用すべきものとは認められない。
 付言すると,本件は,被告人が,仕事をしていなかったにもかかわらず仕事で金が入るなどと内妻に対して述べていたところ,このうそが露見することを恐れ,まとまった金を手に入れようとして犯行に及んだ下記2件の強盗殺人等の事案である。すなわち、被告人は,(1)買物帰りの客から金品を強取した後同人を殺害しようと企て,堺市内の駐車場において,駐車中の自動車に乗り込もうとしていた女性(当時67歳)を同車に押し込み,同人の目及び口に粘着テープを貼り付け両手首及び両足首に粘着テープを巻き付けるなどの暴行,脅迫を加えて同人の身体を拘束し,同車を発進させて同車ごと現金約31万円,キャッシュカード等を強取し,同車を大阪府河内長野市内の路上に停車させ,同人から前記キャッシュカードの暗証番号を聞き出すや同人の顔面に食品包装用のラップフィルムを密着させて巻き付け,窒息死させて殺害し(営利・生命身体加害略取,逮捕・監禁,強盗殺人),同市内の山林で同人の遺体を焼却してその骨片等を投棄するなどし(死体損壊・遺棄),前記キャッシュカードを使用して現金自動預払機から現金5万円を引出し(窃盗),(2)知人で元会社役員の男性(当時84歳)から金品を強取した後同人を殺害しようと企て,堺市内の同人方に宅配便の配達員を装って侵入した上,同人の目及び口に粘着テープを貼り付け両手首及び両足首をそれぞれ結束バンドで拘束するなどの暴行,脅迫を加え,現金約80万円,クレジットカード等を強取し,同人から前記クレジットカードの暗証番号を聞き出すや同人の顔面に食品包装用のラップフィルムを密着させて巻き付け,遷延性窒息により死亡させて殺害し(住居侵入,強盗殺人),前記クレジットカードを現金自動預払機に挿入して現金を引き出そうとしたが,未遂に終わった(窃盗未遂)ものである。各強盗殺人の犯行は,別個の機会に,いずれも被害者殺害に用いるための食品包装用のラップフィルムをあらかじめ用意して行われた,強固な殺意及び財物奪取の意思に基づく計画的なものであり,殺害方法も冷酷というほかない。被害者らに全く落ち度はない。市井において平穏に生活していた2名の生命が奪われた結果は重大であって,遺族らは厳しい処罰感情を抱いている。動機も身勝手というほかなく,経緯を含めて酌量の余地はない。
 以上のような事情に照らせば,被告人の刑事責任は極めて重大というほかなく,被告人が反省の態度を示していることなど,被告人のために酌むべき事情を十分考慮しても,原判決が維持した第1審判決の死刑の科刑は,やむを得ないものとして,当裁判所もこれを是認せざるを得ない。 
 よって,刑訴法414条,396条,181条1項ただし書により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
検察官西谷隆 公判出席
(裁判長裁判官 岡部喜代子 裁判官 山崎敏充 裁判官 戸倉三郎 裁判官 林景一 裁判官 宮崎裕子)