強盗殺人,詐欺,窃盗,住居侵入被告事件 最高裁判所第一小法廷平成26年(あ)第589号 平成29年7月27日判決

       主   文

本件上告を棄却する。

       理   由

 弁護人高橋俊彦,同大久保博史の上告趣意のうち,憲法38条1項違反をいう点は,記録を調査しても,第1審の公判期日において被告人が不利益な供述を強要されたとは認められないから,前提を欠き,その余は,憲法違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反,事実誤認の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。
 なお,所論に鑑み記録を調査しても,以下のとおり,本件につき,刑訴法411条を適用すべきものとは認められない。
1 原判決の是認する第1審判示第2,第8の各強盗殺人の事実は,いずれも,被告人が,各被害者から債務の弁済を請求されていたところ,同人らを殺害してこれを免れようと考え,同人らに対し睡眠薬等を服用させて意識もうろう状態に陥らせた上,同人らを水中に誘導して溺れさせ,殺害したという事案である。被告人が上記各事実の犯人であることは,〔1〕被告人は,各被害者が行方不明になった際,最後に接触していた者であり,その後程なくして一人でいるところを当時被告人と同居していた男性により目撃された際,体がぬれた状態であったこと,〔2〕被告人は,各被害者の遺体から検出された特徴的な組合せの睡眠薬等を事前に入手していたか,入手可能であったこと,〔3〕被告人には各被害者に対する債務があり,殺害の動機があったと認められることなどを総合することによって,いずれも合理的な疑いを差し挟む余地がない程度に証明されていると認められる。なお,上記男性の証言は,証拠上認められる客観的事実に整合していることなどに照らして,信用することができる。上記各事実を含め,被告人を有罪と認定した第1審判決を是認した原判決は,正当として是認することができる。
2 本件は,強盗殺人2件のほか,詐欺,窃盗等の各事件からなる事案である。量刑評価において中心となる強盗殺人2件は,別個の機会に,いずれも,債務の弁済を免れようとして債権者を殺害したもので,経緯や動機に酌むべき事情がなく,被害者にあらかじめ用意していた睡眠薬等を服用させて意識もうろう状態に陥らせた上,水中に誘導して溺れさせたという,強固な殺意に基づく計画的で冷酷な犯行であり,何ら落ち度のない2名の生命が奪われた結果は重大であって,遺族らは厳しい処罰感情を抱いている。
 以上のような事情に照らせば,被告人の刑事責任は極めて重いというほかなく,被告人に罰金前科しかないことなどを十分考慮しても、原判決が維持した第1審判決の死刑の科刑は,やむを得ないものとして,当裁判所もこれを是認せざるを得ない。
 よって,刑訴法414条,396条,181条1項ただし書により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。 
検察官佐藤主税 公判出席
(裁判長裁判官 小池裕 裁判官 池上政幸 裁判官 大谷直人 裁判官 木澤克之 裁判官 山口厚)