最高裁判所第一小法廷平成25年(行ツ)第402号 平成27年2月19日判決

       主   文

本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。

       理   由

 上告代理人奥村回ほかの上告理由について
1 上告理由のうち憲法25条及び14条1項違反をいう部分について
 憲法25条の規定の趣旨に応えて具体的にどのような立法措置を講ずるかの選択決定は,立法当時の諸条件を踏まえた立法府の広範な裁量に委ねられているところ,児童扶養手当法(平成22年法律第40号による改正前のもの)4条1項の規定に基づく児童扶養手当が,母子世帯に対する所得保障の給付である点において父の死亡した児童を受給権者とする遺族厚生年金と性格を同じくするものといえることや,児童扶養手当と上記の児童を受給権者とする公的年金給付との間の同条2項2号の規定による併給調整が平成26年法律第28号による改正前において双方の給付の多寡により調整の範囲に限定を付されていなかったのは,公的年金給付を受給できない母子世帯に対する所得保障の確保等を目的とする趣旨によるものであったと解されることなどに照らすと,児童扶養手当と遺族厚生年金との上記の併給調整は,その範囲に上記の限定を付されていなかったことを含め,上記のような立法府の裁量の範囲に属する事柄というべきであって,合理的理由のない差別に当たるとはいえず,児童扶養手当につき公的年金給付との併給調整を定める同号の規定が遺族厚生年金との併給調整において憲法25条,14条1項に違反するものということはできない。このことは,当裁判所大法廷の判例(最高裁昭和37年(オ)第1472号同39年5月27日大法廷判決・民集18巻4号676頁、最高裁昭和51年(行ツ)第30号同57年7月7日大法廷判決・民集36巻7号1235頁)の趣旨に徴して明らかというべきである(最高裁昭和54年(オ)第1068号同57年12月17日第二小法廷判決・裁判集民事137号601頁,最高裁昭和54年(行ツ)第110号同57年12月17日第二小法廷判決・裁判集民事137号635頁,最高裁平成17年(行ツ)第246号同19年9月28日第二小法廷判決・民集61巻6号2345頁参照)。論旨は採用することができない。
2 その余の上告理由について
 論旨は違憲及び理由の不備・食違いをいうが,その実質は単なる法令違反をいうもの又はその前提を欠くものであって,民訴法312条1項及び2項に規定する事由のいずれにも該当しない。 
 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 櫻井龍子 裁判官 金築誠志 裁判官 白木勇 裁判官 山浦善樹 裁判官 池上政幸