主 文
原判決を破棄する。
本件を東京高等裁判所に差し戻す。
理 由
職権をもって調査すると,記録によれば,原判決には,その基本となる口頭弁論に関与していない裁判官が判決をした裁判官として署名押印していることが明らかである。そうすると,原判決は,民訴法249条1項に違反し,判決の基本となる口頭弁論に関与していない裁判官によってされたものであり,同法312条2項1号に規定する事由が存在する。したがって,上告理由について判断をするまでもなく,原判決を破棄し,本件を原審に差し戻すのが相当である。
なお,上告裁判所は,上記のような理由により原判決を破棄する場合には,必ずしも口頭弁論を経ることを要しない(最高裁平成18年(オ)第1598号同19年1月16日第三小法廷判決・裁判集民事223号1頁)。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 鬼丸かおる 裁判官 山本庸幸 裁判官 菅野博之