死体遺棄,住居侵入,強盗殺人,窃盗被告事件 最高裁判所第三小法廷平成22年(あ)第2073号 平成25年12月17日判決

       主   文

本件上告を棄却する。

       理   由

 弁護人坂根真也,同藤原大吾の上告趣意のうち,死刑制度に関して憲法13条,31条,36条違反をいう点は,死刑制度が憲法のこれらの規定に違反しないことは当裁判所の判例(最高裁昭和22年(れ)第119号同23年3月12日大法廷判決・刑集2巻3号191頁,最高裁昭和26年(れ)第2518号同30年4月6日大法廷判決・刑集9巻4号663頁,最高裁昭和32年(あ)第2247号同36年7月19日大法廷判決・刑集15巻7号1106頁)とするところであるから、理由がなく,被告人の捜査段階の自白に関して憲法31条,38条違反をいう点は,自白の任意性を疑うべき証跡は認められないから,前提を欠き,その余は,判例違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反,事実誤認,量刑不当の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。
 なお,所論に鑑み記録を調査しても,刑訴法411条を適用すべきものとは認められない。 
 付言すると,本件は,被告人が,(1)共犯者と共謀の上,姉弟である被害者が暮らす住居に侵入し,被害者両名に暴行脅迫を加えて金品を強取した上,その頭部にビニール袋をかぶせて密封し,窒息死させて殺害し,その後,その死体を畑地に遺棄した住居侵入,強盗殺人,死体遺棄,(2)共犯者と共謀の上又は単独で,強取したキャッシュカード等を使用して現金自動預払機から現金を窃取した窃盗の事案である。
 被告人は,多額の負債を抱えてその返済に窮したことから,資産家であると考えた被害者方に押し入り,被害者両名を殺害して金品を強取し,その死体を遺棄するという計画を立て,共犯者をその計画に誘い入れた上で,共犯者と共に下見をし,脅迫に使用するサバイバルナイフ,殺害に用いるビニール袋,死体の運搬,遺棄に用いる毛布,スコップ等をあらかじめ準備した上,死体の運搬に用いるワゴン車を運転して被害者方に赴き,本件犯行に及んだものであって,経緯,動機に酌量の余地はなく,また,当初から2名の殺害を企図した計画性の高い犯行である。その態様をみても,在宅していた弟に対して上記ナイフを示し,両手を緊縛するなどして弟から現金及びキャッシュカード等を強取した後,姉の帰宅を待ち受け,帰宅した姉に対しても上記ナイフを示して現金及びキャッシュカード等を強取し,さらに,手足を緊縛されて身動きのできない状態の被害者両名の頭部にビニール袋をかぶせ,その上から頸部付近に粘着テープを巻いて密封し,被害者両名を窒息死させて殺害し,その後,その死体を遠く離れた畑地まで運び,重機で穴を掘ってそこに投げ入れて埋め戻したという凶悪,冷酷なものであり,殺害方法は極めて残忍である。何の落ち度もない被害者両名の生命を奪った結果は誠に重大であり,遺族らの処罰感情がしゅん烈であるのも当然である。財産的被害も合計560万円余りと多額である。そして,被告人らは,犯行後,その発覚を避けるため,弟を装って,姉の勤務先に欠勤の電話連絡をするなどの隠蔽工作もしており,犯行後の情状も芳しくない。
 被告人は,上記のような犯行計画を立案し,共犯者をその計画に誘い入れた本件犯行の首謀者であり,本件犯行は,この計画に従って実行されたものである。また,被告人は,その実行に当たっても,自ら,被害者両名に対する脅迫や金品の強取を行い,被害者のうち姉を殺害するなどの重要な役割を果たしている上,犯行による利得も,強取したキャッシュカード等を使用して単独でも現金を引き出すなどして,共犯者の3倍以上の現金を得ている。こうしてみると,被告人の責任は,無期懲役刑に処せられた共犯者よりも格段に重いというべきである。
 以上のような諸事情に照らすと,被告人の刑事責任は極めて重大であって,被告人がおおむね事実を認めて反省の態度を示していること,前科はないことなど,被告人のために酌むべき事情を十分考慮しても,原判決が維持した第1審判決の死刑の科刑は,やむを得ないものとして,当裁判所もこれを是認せざるを得ない。
 よって,刑訴法414条,396条,181条1項ただし書により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
検察官慶徳榮喜 公判出席
(裁判長裁判官 木内道祥 裁判官 岡部喜代子 裁判官 大谷剛彦 裁判官 寺田逸郎 裁判官 大橋正春)