窃盗,強盗殺人,住居侵入被告事件 最高裁判所第三小法廷平成27年(あ)第120号 平成29年12月8日判決

       主   文

本件上告を棄却する。

       理   由

 弁護人吉岡一彦,同下村忠利,同鈴木一郎の上告趣意のうち,死刑制度に関して憲法13条,31条,36条違反をいう点は,死刑制度が憲法のこれらの規定に違反しないことは当裁判所の判例(最高裁昭和22年(れ)第119号同23年3月12日大法廷判決・刑集2巻3号191頁、最高裁昭和26年(れ)第2518号同30年4月6日大法廷判決・刑集9巻4号663頁,最高裁昭和32年(あ)第2247号同36年7月19日大法廷判決・刑集15巻7号1106頁)とするところであるから,理由がなく,憲法39条違反をいう点は,被告人が同一の犯罪について二重に処罰されたものではないから,前提を欠き,その余は,憲法違反,判例違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反,事実誤認,再審事由,量刑不当の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。
 なお,所論に鑑み記録を調査しても,本件につき,刑訴法411条を適用すべきものとは認められない。 
1 原判決が是認する第1審判決判示第3の強盗殺人の事実は,被告人が,被害者夫婦方敷地に金品奪取目的で赴き,同夫婦を殺害し,金品を奪取したという事案である。被告人が強盗殺人を行ったことについて,被告人は,債務の弁済等をしなければならない状況にあり,被害者らが殺害された直後に被害品を換金してこれに充てていること,被害者ら殺害の約2日後には自らガレージを賃借して被害者らの遺体を梱包の上ドラム缶に入れ,これを同ガレージ内に隠したことなどを総合することによって,合理的な疑いを差し挟む余地のない程度に証明されているとみることに,不合理な点はない。
 その余の事実を含め,被告人を有罪と認定した第1審判決を是認した原判決は,正当として是認することができる。
2 本件は,上記の強盗殺人のほか,窃盗3件等からなる事案である。量刑判断の中心となる強盗殺人の犯行は,被告人が,以前関わった居宅等工事の関係で生活状況を把握していた高齢の被害者夫婦の財産を狙って,200万円を超える金品を奪い,その機会に被害者両名の頭部をいずれも重量のある鈍器で殴打するなどし,短時間のうちに絶命させたというものである。その殺害態様は冷酷かつ悪質で,強固な殺意が認められる上,犯行の利欲性も高い。何らの落ち度も認められない2名の生命を奪ったという結果は重大である。被害者らの遺体をガレージ内のドラム缶に入れて放置するなどしたこともあり,遺族らは厳しい処罰感情を示している。被告人は不合理な弁解を続け,反省の態度を示していない。
 以上のような事情に照らせば,被告人の刑事責任は極めて重大であるといわざるを得ず,当初から殺害の意図があったとまでは認められないこと,罰金前科しかないことなど,被告人のために酌むべき事情を十分に考慮しても,原判決が維持した第1審判決の死刑の科刑は,やむを得ないものとして,当裁判所もこれを是認せざるを得ない。
 よって,刑訴法414条,396条,181条1項ただし書により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
検察官野口元郎 公判出席
(裁判長裁判官 戸倉三郎 裁判官 岡部喜代子 裁判官 木内道祥 裁判官 山崎敏充 裁判官 林景一)