裁判の執行に関する異議申立て事件 最高裁判所第二小法廷平成26年(す)第765号 平成27年2月23日決定

       主   文

本件申立てを棄却する。

       理   由

1 本件は,申立人に対する窃盗被告事件について,名古屋高等裁判所金沢支部がした第1審及び控訴審の各訴訟費用負担の裁判(平成25年(う)第26号)並びに当裁判所がした上告審の訴訟費用負担の裁判(同年(あ)第1398号)の執行に関する刑訴法502条による異議申立てである。
2 本件申立てのうち,名古屋高等裁判所金沢支部がした各訴訟費用負担の裁判の執行に関する部分は,同支部に申し立てるべきものであって,不適法である。
3 当裁判所がした訴訟費用負担の裁判の執行に関して異議を申し立てる部分について検討すると,次のとおりである。
(1)本件の執行状況を見ると,最高検察庁検察官は,上記被告事件に関する本案裁判が平成26年1月7日に確定し,同月27日訴訟費用執行免除申立期間が満了したのに伴い,同月29日,徴収担当事務官の作成した徴収金指揮印票に指揮印を押印し、この執行指揮を受けた同事務官は,納付期限を同年2月12日とする納付告知書を申立人に送付したが,申立人から納付がなかったため,さらに,同年4月4日,納付期限を同月18日とする督促状を送付し,納付期限内に納付しないときは検察官において強制執行の手続をとる旨通告した。申立人は,同月18日までに納付しなかったが,現時点で検察官による徴収命令は出されていない。
 本件において,検察官は,訴訟費用負担の裁判について,刑訴法472条の執行指揮をし,これに基づき,徴収担当事務官が,申立人に対し納付告知書及び督促状を送付している。これらは,検察官の執行指揮の内容を告知し納付を催促するため,徴収事務を制度化した徴収事務規程(平成25年3月19日法務省刑総訓第4号)に基づき,検察官の命により送付されたものであり,同法502条の「執行に関し検察官のした処分」であると解すべきであって,同法490条1項による徴収命令の出される前であっても,訴訟費用負担の裁判の執行に対する異議の申立てをすることができる。 
(2)しかしながら,所論は,単に支払能力がないため訴訟費用の免除を求めるというものにすぎず,訴訟費用負担の裁判の執行に関し検察官のした処分の不当をいうものではないから,理由がない。
 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 千葉勝美 裁判官 小貫芳信 裁判官 鬼丸かおる 裁判官 山本庸幸)