裁判員候補者についての不選任決定の請求を却下する決定に対する異議申立て棄却決定に対する特別抗告事件 最高裁判所第一小法廷平成25年(し)第110号 平成25年3月15日決定

       主   文

本件抗告を棄却する。

       理   由

 記録によれば,本件は,申立人が,裁判員等選任手続において,裁判員候補者1名について,裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(以下「裁判員法」という。)34条4項の不選任決定の請求をしたが、同請求を却下され,裁判員法35条1項の異議の申立ても不適法であるとして棄却されたため,特別抗告を申し立てた事案であるところ,異議の申立て後にされた裁判員法37条の裁判員及び補充裁判員を選任する決定において,当該裁判員候補者は選任されなかったことが明らかである。
 所論は,裁判員法35条1項の異議の申立てには同条4項により即時抗告に関する刑訴法の規定が準用されるから,同法425条により請求却下決定の執行が停止されて裁判員等選任手続は停止されるべきであり,停止しないでなされた選任決定は違法であると主張する。 
 しかし,裁判員法35条1項の異議の申立てには,裁判員等選任手続の性質上,即時抗告の執行停止の効力に関する刑訴法425条は準用されず,上記の異議の申立てがされても,裁判員等選任手続が停止されるものではないと解すべきであるから,その後にされた裁判員法37条の裁判員及び補充裁判員を選任する決定に違法はない。同決定において,異議の申立てに係る裁判員候補者が選任されなかった場合には,不選任決定の請求を却下する決定を取り消す実益が失われ,異議の申立ては法律上の利益を欠くというべきである。以上によれば,本件異議の申立てが不適法なものであるとした原決定は正当であるから,本件抗告もまた不適法である。
 よって,裁判員法35条4項,刑訴法434条,426条1項により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 白木勇 裁判官 櫻井龍子 裁判官 金築誠志 裁判官 横田尤孝 裁判官 山浦善樹)