詐欺未遂,強盗殺人,死体遺棄被告事件 最高裁判所第二小法廷平成28年(あ)第543号 平成30年12月21日判決

       主   文

本件上告を棄却する。

       理   由

 弁護人宮村啓太,同中野比登志,同石村信雄の上告趣意のうち,憲法36条違反をいう点は,死刑制度が憲法の同規定に違反しないことは当裁判所の判例(最高裁昭和22年(れ)第119号同23年3月12日大法廷判決・刑集2巻3号191頁,最高裁昭和26年(れ)第2518号同30年4月6日大法廷判決・刑集9巻4号663頁,最高裁昭和32年(あ)第2247号同36年7月19日大法廷判決・刑集15巻7号1106頁)とするところであるから,理由がなく,その余は,判例違反をいう点を含め,実質は事実誤認,量刑不当の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。
 なお,所論に鑑み記録を調査しても,本件について,刑訴法411条を適用すべきものとは認められない。
 本件は,被告人が,親交のある資産家夫妻を殺害してその所持品を強奪した上,死体を土中に埋めて遺棄し,強奪したクレジットカードを不正に使用して約381万円相当の新幹線回数券50冊をだまし取ろうとしたが,未遂に終わったという強盗殺人,死体遺棄,詐欺未遂の事案である。量刑判断の中心となる強盗殺人の犯行は,クレジットカード等を強奪するために,夫妻を巧みに誘い出し,自動車内で夫妻に多量の睡眠薬を服用させて睡眠状態に陥らせ,夫妻の首にそれぞれロープを掛け,自動車の後部ドア枠上部に引っ掛けたフックにロープを通し,これを引っ張って夫妻を絞殺したというものであり,被告人は,あらかじめ,殺害に用いる自動車,睡眠薬,ロープ,フック等を準備したほか,死体を埋めるための土地を購入して穴を掘るなどしている。本件強盗殺人は,周到に準備された高度に計画的な犯行というほかなく,被告人の殺意も強固である。何ら落ち度のない被害者2名の生命を奪った結果は重大であり,遺族が峻烈な処罰感情を示しているのも当然である。
 以上のような事情に照らせば,被告人の刑事責任は極めて重いというほかなく,被告人が死体遺棄及び詐欺未遂の事実を認めていること,被告人に前科がないことなど,被告人のために酌むべき事情を十分に考慮しても,原判決が維持した第1審判決の死刑の科刑は、やむを得ないものとして,当裁判所もこれを是認せざるを得ない。
 よって,刑訴法414条,396条により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。 
 検察官菅野俊明,同飯島泰 公判出席
(裁判長裁判官 鬼丸かおる 裁判官 山本庸幸 裁判官 菅野博之 裁判官 三浦守)