道路交通法違反被告事件についてした略式命令に対する非常上告事件 最高裁判所第二小法廷令和元年(さ)第1号 令和元年8月9日判決

       主   文

原略式命令を破棄する。
被告人は無罪。

       理   由

 古河簡易裁判所は,平成22年4月30日,「被告人は,公安委員会の牽引免許を受けないで,平成21年10月31日午後3時頃,茨城県猿島郡境町大字大歩221番地付近道路において,重被牽引車を牽引して小型特殊自動車を運転した。」旨の事実を認定した上、「道路交通法117条の4第2号,64条,85条3項,刑法18条,刑訴法348条」を適用して,被告人を罰金25万円に処する旨の略式命令を発付し,同略式命令は,平成22年5月25日確定した。
 しかしながら,道路交通法85条3項は,牽引自動車によって重被牽引車を牽引して当該牽引自動車を運転しようとする者は,牽引免許を受けなければならない旨規定しているところ,平成27年法律第40号による改正前の道路交通法75条の8の2第1項によると,小型特殊自動車は牽引自動車に当たらないから,前記略式命令の認定事実は,罪とならなかったものといわなければならない。 
 そうすると,原略式命令は,法令に違反し,かつ,被告人のため不利益であることが明らかである。
 よって,本件非常上告は理由があるから,刑訴法458条1号により原略式命令を破棄し,同法336条前段により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
 検察官和田雅樹,同菅野俊明 公判出席
(裁判長裁判官 三浦守 裁判官 山本庸幸 裁判官 菅野博之 裁判官 草野耕一)