道路交通法違反被告事件に係る略式命令に対する非常上告事件 最高裁判所第二小法廷平成27年(さ)第2号 平成27年6月8日判決

       主   文

原略式命令を破棄する。
本件公訴を棄却する。

       理   由

 名古屋簡易裁判所は,平成26年10月17日,「被告人は,平成26年2月15日午後2時44分頃、普通貨物自動車を運転し,道路標識により一時停止すべきことが指定されている名古屋市守山区大字中志段味字才井戸流1474番地先の交通整理が行われていない交差点に入るに際し,停止位置で一時停止しなかったものである。」との事実を認定した上,道路交通法119条1項2号,43条,4条1項,同法施行令1条の2,刑法66条,71条,68条4号,18条,刑訴法348条を適用して,被告人を罰金7000円に処する旨の略式命令を発付し,同略式命令は,同年11月1日に確定した。
 上記行為は,道路交通法125条1項の反則行為に該当するから,反則者である被告人に対しては,同法130条により,同法127条の通告をし,同法128条1項の納付期間が経過した後でなければ公訴を提起することができない。しかしながら,一件記録によると,被告人に対し,本件反則行為の告知はされていたものの,通告を欠いたまま,名古屋区検察庁検察官事務取扱検察事務官が公訴を提起したことが認められる。したがって,公訴提起を受けた名古屋簡易裁判所としては,刑訴法463条1項,338条4号により公訴棄却の判決をすべきであったにもかかわらず,公訴事実どおり前記事実につき有罪を認定して略式命令を発付したものであって,原略式命令は,法令に違反し,かつ,被告人のため不利益であることが明らかである。 
 よって,本件非常上告は理由があるから,同法458条1号により原略式命令を破棄し,同法338条4号により本件公訴を棄却することとし,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
検察官野口元郎 公判出席
(裁判長裁判官 千葉勝美 裁判官 小貫芳信 裁判官 鬼丸かおる 裁判官 山本庸幸)